こんにちは!
今回は電車の屋根上についているパンタグラフについてお話していこうと思います
パンタグラフってあのひし形のやつ?
なんのためについてるの??
どうやって上げたり下げたりしているの?
そんな疑問にお答えしていきたいと思います!この記事を読めば、明日からパンタグラフについてどや顔で語れるようになります!
電車を語る上でパンタグラフは欠かせないので、ぜひ知っておきましょう!お子様にも喜ばれること間違いなしです!
約10年間電車整備士をやっていた筆者がお話します!
- パンタグラフは集電装置の一種で、架線からの電気を電車に取り込む役割がある
- パンタグラフにはいろんな形があるが、現在はくの字型のシングルアームが主流
- 多くのパンタグラフはバネで上昇し、空気の力で下降する
- 緊急時はパンタグラフは下降することで安全を確保する
それでは、よろしくお願いします!
電車の電気の流れについてはこちらの記事で解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください
このブログの内容はYoutubeでもアップしておりますので、動画の方が良い方はぜひそちらもチェックしてみてください!
パンタグラフとは集電装置の一種!
パンタグラフは集電装置(しゅうでんそうち)と言って、その名の通り電気を集めるための装置の1種です。
パンタグラフ以外にもトロリー線から集電するトロリーポールや、第三軌条といってレールの横に並んだ電源の線から集電する集電靴などがあります。
集電装置の中でもパンタグラフは1番メジャーなスタイルと言えますね!
パンタグラフを採用している電車の電源は変電所から架線を通ってきます。その架線の電気を電車に取り込んでいるのがパンタグラフになります。
本来のパンタグラフの語源はギリシャ語で「四角形の関節接手をもつ棒尺」を指す言葉だったようです(出典:Wikipedia)
略してパンタなんて言ったりしますね。詳しいツウな方は「PS」なんて略します。これは「パンタグラフスイッチ」の略ですね!なぜ「スイッチ」なのかと言うと、パンタグラフが架線にくっつけば電気回路が構成されるので、電気回路を入り切りする「スイッチ」の役割と言えるからです!
いろんな形がある!パンタグラフの種類と構造
パンタグラフは主に2種類あって、ひし形の形をしているひし形パンタグラフとくの字になっているシングルアームパンタグラフに分かれます。
それぞれの特徴について解説します。
ひし形パンタグラフの特徴
○作りが頑丈であるので壊れにくい
×重量が重くなってしまい、速度が出しづらくなってしまう
×表面積が増えるので空気抵抗が増えてしまい、騒音の原因となる
×部品の数が多いので、コストがかかってしまうのとメンテナンスが大変
シングルアームパンタグラフの特徴
○重量が軽いため、車両の速度が出しやすくエコである
○表面積が減るので空気抵抗が減り、騒音が軽減される
○部品の数が少ないので、コストを抑えられてかつメンテナンスがしやすい
×作りが弱くなってしまうので壊れやすい
以上のような特徴があります。ひと昔前はひし形パンタグラフが主流でしたが、現在ではシングルアームを採用している車両が増えています。これは
- 軽量化になるので
- 高速化しやすい
- 走行のエネルギーが省略化されるのでエコである
- 表面積が少ないことにより、空気抵抗が減るので
- 高速化しやすい
- 騒音問題の解消
などが要因だと考えられます
特に新幹線では超高速で走行するので、トンネルに入った際の騒音などはかなりになってしまうため、騒音対策は重要課題となってきます
ちなみに他にも下枠交差式のパンタグラフなど、様々な形のパンラグラフもありますので、ぜひ普段乗っている電車のパンタグラフの形をチェックしてみてくださいね♪
ばねの力で上がる!パンタグラフの仕組みと構造
パンタグラフは走行する時は上昇させて、架線にくっついた状態を維持させます。架線と接触することで電気回路を構成し、電車に電気を取り込んでいます。
反対に車両基地で休んでいる時など、電気を使用しない時は下降させて折りたたんだ状態にし、架線と接触させないことで電気を取り込まないようにしています。
ではどうやって上昇や下降をさせているのでしょうか?
多くのパンタグラフでは「ばね上昇空気下降式」を採用しています!
- ばねの力で上昇
- 空気の力で下降
させているということです。そのまんまですが、実際に見ていきましょう!
ばねの力が重要!パンタグラフの上昇の仕組み
パンタグラフが上昇する時はばねの力を使ってびよーんと上がっていきます。
またばねの力を使うことで常に架線に押し当てている状態を作ることができ、多少のデコボコなどは気にせずに架線にくっついた状態をキープできます。
この状態がキープできないと
- 電車に取り込む電気が途切れ途切れになってしまう
- 架線とパンタグラフの間でアークが飛んでしまい、架線やパンタグラフの損傷につながってしまう
などが発生してしまうため、ばねの力が重要になってきます。パンタグラフに求めれる機能性の一つでこれを追従性と言います。
また架線に対してスリ板を押し付けた状態でスリながら走行するため、当然スリ板は摩耗していきます。架線を定期的に交換するのは大変なため、スリ板の方を柔らかい素材にすることで消耗品の交換を簡易的にしています。素材は導電性も良い(電気を通しやすい)カーボンが主流です。
空気の力で下がるパンタグラフ!下がった状態が電車にとっては安全!
反対に下降する時には空気を送り込むことでてこを下降方向に動かします
電車においては安全性を重視し、万が一が起きた時には常に安全方向に物事が動くように動作させます。この考え方をフェールセーフと言います。
ではパンタグラフにおいて安全方向は上昇と下降のどちらでしょうか?
正解は下降です。
パンタグラフが下降していれば
- 電気が通らないので、感電の心配がない
- モータに電源が来ないので、動く心配が少ない
といったことになるからです。ちなみに電車では電気が来ていないと勝手に非常ブレーキがかかる仕組みもあるので、電気が来てないことは安全側になるのです!
パンタグラフの弱点
電車を走らせるための生命線とも言えるパンタグラフですが、実は弱点があります。それは
- 雪
- 飛来物
- 狭いトンネル
などです。順番に見ていきましょう
パンタグラフは雪の重さに勝てない!?
パンタグラフのスリ板には雪が積もると、雪の重さにばねの力が負けてしまい、パンタグラフが上がらない状態となってしまいます。
そのため、雪が降ると鉄道会社の職員はスリ板の上の雪を絶縁された道具を使って下さなくてはなりません。
また雪の重みによりパンタグラフが下がってしまうと、その瞬間で架線との間に隙間ができてしまう(離線)ため、アークが飛んでしまい架線やスリ板を損傷させてしまう可能性があります。
遅延の原因!飛来物
- パンタグラフにビニール袋が絡まっている
- 架線に凧が絡まっている
など、飛来物が電車の運行を妨げることは間々あります。これはパンタグラフにビニール袋が絡まってしまうと、そこから摩擦による火災などの原因になってしまうからです。
車両側として対策することは難しいので、ゴミは確実に捨てるなどの一人一人のマナーを守った行動が必要になります。
狭いトンネルでは昔はパンタグラフを低くするしかなかった!
中央本線にある「笹子トンネル」ではトンネルの高さが非常に低く、昔は屋根を低くするか、パンタグラフを低い位置に取り付けるかしかなかったそうです。
しかし今ではパンタグラフのばねが折り畳まれることにより、この問題は解決されています。
まとめ:電車のパンタグラフの仕組みと構造を知って、楽しい電車ライフを過ごそう!
役割:架線の電気を電車に取り込む(集電する)
構造:主にひし形とシングルアームの2タイプがあり、現在はシングルアームが主流
仕組み:ばねで上昇し、空気の力で下降する
緊急時:パンタグラフは下降することで安全を確保する
以上を覚えておきましょう!
普段電車を利用する方でもパンタグラフに注目する方は少ないと思います。
ぜひ今度乗車される際にはパンタグラフがどんな形をしているのかちらっと見てみましょう!
スマホ首のストレッチにもなりますよ♪
電車が架線から電気をもらって動く電気の流れについてはこちらの記事で!
それでは、ありがとうございました!