こんにちは!今回は鉄道の「軌道回路」についてお話しします!
軌道回路ってなに?
鉄道の信号ってどうやって表示させてるの?
こんな疑問にお答えします!
鉄道において列車の安全・安定輸送を行ううえで、正確に信号を現示させることは非常に大切です。信号機が正しく機能しないと、列車の運転が正常にできないだけでなく、衝突事故・脱線事故を引き起こしてしまう可能性があります。
そのような事故を起こさないように、安全・安定的な輸送を実現するうえで大切なのが「軌道回路」になります。この軌道回路があることによって正しい信号を現示させ、安定的な運行管理ができます。
そんな軌道回路の仕組みについて、今回はお話しします!
- 鉄道の軌道回路とは?
- 軌道回路の仕組みについて
- 不正落下とは?
鉄道の安全を支える「軌道回路」の仕組みについて詳しくなっちゃおう!
それでは、よろしくお願いします!
鉄道の軌道回路とは?
鉄道のレール・線路や枕木のことを「軌道」と言います。そして実はレールには電気が流れています。レールに流れる電気は
- 電車のグランド(マイナス)
- 信号電流
の2つがあります。電車のグランド(マイナス)については電車の電気の流れについて解説した記事でお話ししていますので、ぜひ合わせてご覧いただければと思います。
今回は信号電流のお話をします。鉄道では信号電流と言う電気をレールに流すことで、鉄道車両の在線状態を検知(どこに列車がいるのかを把握)しています。
この信号電流がレールに流れていて電気回路になっているため、「軌道回路」と言います。
ではどうやって鉄道車両の在線状態を検知しているのか、その仕組みについて次でお話しします!
※ちなみにこの電車のグランド(帰線電流)と信号電流の電流を振り分けているものを「インピーダンスボンド」と言います。
軌道回路の仕組みについて
軌道回路の仕組みを知ってもらうために、まずはイメージをご覧ください!
まずは列車がいないときの軌道回路はイメージ図の上の状態になります。信号電流が信号まで届くことで軌道回路が構成されて、信号に電気が届きます。
信号機に電気が届くことで、「この区間には列車がいない」という認識になり、青信号が現示されます。
次に列車が在線している状態の軌道回路はイメージ図の下の状態になります。信号電流が列車の輪軸によって短絡されるため、信号には電流が届きません。
信号機は電気が届かないことにより、「この区間には列車がいる」という認識になり、赤信号が現示されます。
以上が軌道回路の仕組みになります。
現在ではこの軌道回路により列車の在線状態を検知し、列車運行管理システムにて列車の在線状態を把握して安全・安定的な輸送の管理をしています。
テレビやアニメでモニタ上に列車の位置が表示されるアレですね!
最後に、軌道回路における不具合である「不正落下」についてお話しします。
軌道回路の不正落下とは?
軌道回路では、線路の破断や設備故障などによって信号電流が流れなくなってしまうことがあります。列車が在線していないにも関わらず、信号機に赤信号が現示されてしまいます。これを「不正落下」と言います。
不正落下が発生してしまうと、原因を究明して正常な状態に復旧するまで列車の運行ができなくなってしまいます。
不正落下が起きる原因としては
- 軌道回路の設備(電源やケーブルなど)に異常が発生した
- 豪雨などにより電気が流れやすい状態となり、信号に流れる電流が少なくなってしまう
- 線路が短絡されたり、破断したりして信号電流が流れなくなってしまう
などがあります。このような異常が発生した場合、信号機は赤信号を現示することで安全側に動作します。このような異常が発生したときに安全側にはたらく仕組みを「フェールセーフ」と言います。
この軌道回路の仕組みを利用して、車両故障などの異常が発生した場合に「軌道短絡器」を用いて意図的に軌道回路を短絡します。そうすることで赤信号を現示させて、他の列車の進入を防ぎます。
このような鉄道の列車防護の取り組みについては別の記事で詳しく解説しておりますので、合わせてご覧いただければと思います。
まとめ:鉄道の軌道回路の仕組みを知って、安心して鉄道を利用しよう!
今回は鉄道の軌道回路についてお話ししましたが、いかがでしたでしょうか?
軌道回路は単純な仕組みですが、鉄道の安全を守る大切な要素です。信号・線路・車両などがそれぞれきちんと動作することで鉄道の安全は守られています。
車両以外の鉄道の安全の仕組みを理解することで、より鉄道について好きになっていただければ嬉しいです!
その他、鉄道の安全を守る保安装置についてもお話ししていますので、ぜひご覧いただければと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!