こんにちは!
2021年8月から運行が開始される、東京メトロ半蔵門線の新型車両「18000系」
今回はその18000系の概要や車両スペックについて紹介していきます!
半蔵門線の新型車両ってどんな電車?
新しくなって何が変わるの?
こんな疑問に答えていきたいと思います!
新型車両のスペックを先取りして、少しだけハナタカな気持ちでお迎えしましょう♪
今回の内容は鉄道ファン9月号に掲載されている内容を参考にしております
それでは、よろしくお願いします!
18000系の導入経緯
まずは東京メトロ半蔵門線の概要と導入経緯です
東京メトロ半蔵門線は、東急田園都市線、東武伊勢崎線・日光線と接続して、神奈川県・東京都・埼玉県を通る計105.2kmの区間を結ぶ、都心部における大動脈と言える路線になります
現在は1978年の半蔵門線開業時から使用している8000系と2003年から使用している08系が運行しています
今回はさらなる安全・安定かつ高品質な輸送サービスを提供するために、約18年ぶりに新型車両を投入します
2025年度までに全車両を導入する予定となっています
18000系のコンセプト
半蔵門線は、朝のラッシュ時には平均2分15秒間隔(渋谷~清澄白河間、2020年6月末時点)で運行する非常に高頻度な輸送を行っていること、走行区間のうち乗り入れ先の区間が多く占める(84%)ことが特徴です
また、半蔵門線の歴代車両では
- 8000系は日本初のボルスタレス台車を採用
- 08系は軽量化と車体強度を両立するセミダブルスキンのアルミニウム合金を構体に採用
したことなど、時代の先駆けとなる技術を取り入れてきた経緯があります
これらを踏まえて
以上をコンセプトに設計されたようです
18000系のデザイン
エクステリア(外装)
半蔵門線のラインカラーであるパープルを基調とした2色の識別帯を前面から側面へ流れるように配置し、親しみやすさやスタイリッシュな印象を感じられる外観になっています
さらに車体側面の識別帯には半蔵門線を表す「Z」のモチーフをそれとなく入れています
また、ラインカラーの識別帯はホームドアで見えなくなってしまう事を考慮して
側面中央だけでなく上部にも配置してあり、車椅子とベビーカーのピクトグラム(絵文字)を車両の肩部に入れることでお客さまの視認性向上も図っています
インテリア(内装)
車内空間はラインカラーのパープルを基調に、車内の床から天井に向かって明るい色になるような配色手法を採用し、伝統と新しさが交じり合う沿線の街や行き交う多様な人々の活気を表現しています
腰掛(座席)には日本の伝統的な織物のような柄をレイアウトし、車内全体でイメージの調和を図っています
また、袖仕切(座席の端っこ)や荷棚などに強化ガラスを採用し、車両間の見通しをよくするとともに開放感を感じられるデザインとなっています
18000系の車体の概要
構造
車体の構体はダブルスキン(大型中空押出型材)とし、接合に摩擦攪拌接合(FSW)を採用することで高強度かつ歪みの少ない仕上がりになっています
また踏切停止中のトラックと衝突した場合に運転室の残存空間を確保できる構造にし、台枠と前面スカートを強固に締結することで小型障害物などとの衝突時に大きな破断や破損が生じない構造になっています
さらに、構体の合金種別をA6005Cに極力統一することでリサイクル性の向上を図っています(中間車の構体質量約6200kgのうち約87%)
客室設備
腰掛シートには内部に金属ばねを組み込み、適度なクッション性を持たせています
また表地にアラミド繊維を織り込むことで耐久性を向上し、消臭・抗菌・抗ウイルス加工を施しています
貫通引戸(車両と車両の間の引戸)には開扉アシスト機能を付け、閉扉時にはクッション付きドアクローザーが機能し、安全に配慮した構造になっています
8000系と比較して床面高さを1200mm→1140mmに低減し、ドア出入口下部の形状をホーム側に傾斜させることでホームと車両の段差を低減させ、車椅子・ベビーカーのお客さまが乗降しやすい構造となっています
またすべての車両にフリースペースを設置していて、車両端部ではつり手の高さや荷棚の高さを低めにすることでバリアフリーに配慮している
主要機器
主電動機(モーター)
東京メトロの路線では
- 駅間距離が短い
- 急こう配・急曲線が多い
- 高加速・高減速を高頻度で使用する
という特徴があり、高トルク出力が求められるため、高効率となる永久磁石同期電動機(PMSM)を採用している
主制御装置(VVVF)
フルSiC素子を使用したVVVFインバータを採用し、フルSiCを採用することで
- スイッチング時のエネルギー損失の低減
- 高温での作動が可能となり多くの電流を流せる
といったメリットが得られ、装置の小型軽量化を実現している
ブレーキ装置
- 編成全体の回生ブレーキを最大限活用
- 雨天時には滑走を抑制
するためにTIS(車両制御情報管理装置)と強調した方式を採用している。これにより編成全体でのブレーキ力の計算を行い、M車の回生ブレーキでブレーキが不足する場合はT車の空気ブレーキで補う仕組みになっています
また、雨天時はワイパーの動作を検知する事でブレーキ力を配分し、車輪の滑走を軽減する制御を行います
空気圧縮装置(コンプレッサー)
コンプレッサーはオイルフリー式を採用することでユニットを小型化し、潤滑油を使用しないため省メンテナンス化を図っている
1編成に3台のコンプレッサーを搭載しています
補助電源装置(SIV)
電力素子に高効率なハイブリットSiC素子を採用し、編成中の使用電力が少ない時に1台を積極的に休止させる「並列同期/休止運転方式」を採用し、従来の方式よりも電力損失削減を目指しています
1編成に2台のSIVを搭載しています
車両制御情報管理装置(TIS)
- マスコンからの運転制御指令を制御装置やブレーキ装置に伝達する制御系
- 各機器の作動状態をモニタリングするモニタ系
を有しており、伝送にはイーサネット化することで大容量かつ高速なネットワークを構築しています
またモニタリングをすることにより、車両機器状態のデータ蓄積、分析ができ
- 故障の予兆検知、機器・消耗品の寿命診断
- 高頻度測定による検査の深度化
- 傾向分析による検査の効率化
が実現できるようになります
その他
- 放送装置の高音質化
- 17インチワイドの液晶車内表示器(右側に行先・乗換案内など、左側に広告や各種PR)
- 車外表示器の大型化、日本語・英語表記の併用
- 台車の走行性能、安全性、強度の向上
などのサービスや乗り心地向上の設計となっています
まとめ:これから量産される18000系の概要をおさえて、鉄道ライフを楽しもう!
今回は2021年8月から運行開始される18000系の概要についてお話ししました
やはり新型車両のデビューはワクワクしますよね!
整備士目線ですと、JR東日本のE235系でも採用されている車両の状態をモニタリングするシステムが今後は主流となりそうですね
これにより整備士の仕事はよりスマート化されていくことと思われます
今後はメンテナンスする技術とデータを分析する技術が整備士には求められていくことになりそうですね!
今回機器の説明等は省きましたが、また詳しくお話していきたいと思います
鉄道ファン9月号には他にも新幹線列車名列伝の特集や、18000系の形式図が載っていますので
新幹線好きの方や鉄道模型をやられている方にはとても参考になると思いますので、ぜひご覧になってみて下さい!
それでは、ありがとうございました!