こんにちは!
先日こんな記事を見かけました
自由研究として子供たちに電車に興味を持ってもらうのはとても嬉しいですね!
ところでみなさんは電車のドアがどういう仕組みで開閉しているかご存じでしょうか?
電車のドアってどうやって開閉しているの?
こんな疑問にお答えします!電車のドアには実は大きく分けて2タイプあります!
それは空気を使用して開閉するドアか、電気を使用して開閉するドアか!
この2タイプの仕組みについてお話していきます。また
ドアの故障で電車が遅れたことがあるんだけど、どうなってるの?
こんな疑問にもお答えしていきます!
電車の整備士を10年務めた筆者が解説します!
この記事で分かること
- 電車のドアの仕組み
- 「空気式」「電気式」ドアの仕組み
- ドアの故障で電車が遅れる理由
- 車掌が確認する「側灯」とは?
それでは、よろしくお願いします!
電車のドアの仕組み
今では多くの電車が自動での開閉となっていますが、中には手動で開閉しなくてはいけないドアもあります
自動と言っても電車のドアはビルの入り口などと違ってお客さんが近づけば開くようなことはありません
駅に着いた時に車掌さんが安全確認をしたうえでドアを開けています
車掌さんの操作一つで、例えば15両で1編成の列車でも片側すべてのドアを開くことが出来ます
これはドアに駆動装置や制御装置が搭載されているためになります
各車に引き通された指令線(電線)に電気が通ったり、消えたりすることで駆動装置や制御装置をコントロールしています!
その駆動装置、ドアを開閉する動力は主に「空気式」と「電気式」に分けることができます
それぞれの特徴を見ていきましょう!
電車における空気式ドアの仕組み
鉄道車両ではコンプレッサーでブレーキなどに使用する圧縮空気を作っているため、空気との親和性が非常に高いです(コンプレッサーの記事はこちら)
なのでドアにおいても空気式が最初に採用されました
空気式ではエアシリンダーを設置して、そこへの空気の出し入れによってドアの開閉を行います
こちらの空気式ドアにはさらに2つのタイプがあり、リンク式と直動式に分かれます
電車のドアの開閉のモノマネをすると
プシュー!!
といったことをやったことがあるのではないでしょうか?笑
これが空気の出し入れによるエアーの音になります。特徴は
空気式ドアの特徴
- 歴史が長いので信頼性が高い
- 圧縮空気でドアを閉めているので、閉める力が強い
- 空気配管をドアごとに設置する必要があるため、製造時にコストがかかる
などがあります
新幹線では開通してから50年余り一貫して空気式が採用されています
新幹線は高速で走るため、トンネル突入時に車両の内外に気圧差が生じてしまうため、ドアを密閉させる必要があります
空気式のドアにさらに気密装置を用いて閉まったドアを押し付けることにより外部と遮断することができています
電車における電気式ドアの仕組み
電気式ドアは20年ほど前に登場しました
電気式ドアにも2つタイプがあり
- モーターを使ってスクリュー軸を回転させることでドアを開閉するスクリュー式
- リニアモーターの推進力を使って開閉するリニア式
に分かれます。リニア式の原理のフレミングの法則についてはこちらの記事で解説しております!
電気式のドアは空気式に比べると
電気式ドアの特徴
- 扉を閉める力を自在にコントロールできる
- 開閉途中で止められる
- 空気の使用量が減るので、コンプレッサーの稼働率を下げられる
などの特徴が上げられます
現在の首都圏の普通列車では電気式が主流になりつつあります
電車のドアの外観
電車のドアの外観に注目したことはありますか?
通常の通勤電車では両開きのドアが一般的です。新幹線や特急車両では片開きが主流ですね。これは
- 多くのお客さまが乗り降りする可能性がある通勤電車では、乗降口を広くするために両開きドア
- それほど多くのお客さまが一度に乗り降りする可能性が低い新幹線や特急電車では片開ドア
となっています
また電車のドアの外側や内側には手を引っかける部分があるのに気が付いたことはありますか?
これは非常時や検査の時にドアを開閉するために付いています
なぜ片側だけなのかというと、先ほどの構造の図を見ると両側のドアが連動して動いていることが分かります
なので片側を開ければ両側が開き、片側を閉めれば両側が閉まる仕組みになっています!
通常、走行中は閉め方向に力が加わっているため、開こうとしても開くことはありません
※万が一開いてしまうと大変危険なのでやめましょう!
電車のドアの課題
ドアの課題はドアが原因で電車に遅れを発生させてしまうことが1番になります
もちろんメンテナンス性の課題もありますが、お客さまへの影響が何より優先になります
では電車に遅れを発生させていまう原因はなんでしょうか?
- 荷物挟まり
- 駆け込み乗車による再開閉
- ドアの故障
以上が、主な遅延の原因になります。朝の通勤ラッシュ時など、どうしても混雑率が高くなってしまう時や雨の日などは傘などの荷物挟まりと駆け込み乗車による車掌さんの再開閉操作が増えてしまいます
以下のグラフを見てみると、10分未満の遅延ではドアの再開閉操作(6.0%)を含む、乗降時の要因が約54%を占めていることが分かります
またこれらが原因でさらにドアの駆動部に負荷をかけることで故障に繋がり、遅延の発生を引き起こしてしまう可能性があります
閉まろうとしているのに急に逆方向に力が働いたら
負担がかかりますよね
なので急いでいる気持ちは非常に分かりますが、遅延につながらないように無理な乗車はしないようにしましょう!
車掌さんが確認する:側灯とは
車掌さんや駅員さんが安全確認をしている姿を見たことがある人もいるのではないでしょうか?
新人さんが見習いをやっている時は大きな声で指差し確認を行っていたりしますね
側灯、滅っ!!!
いや、側灯ってなんやねん!
こんなツッコミが聞こえてきそうです。この答えは電車の側面についているランプになります
正式には「車側灯」や「車側表示灯」なんて言ったりします
これは各車両ごとについていて、ドアが1扉でも開いている(閉まっていない)とランプが点灯して
この車両のドア閉まってないよー!
と知らせる表示灯になります。通勤ラッシュの時間帯などでは
ドア閉まったのに発車しないなー
なんて思ったことがあるかもしれませんが、これはお客さんや荷物が挟まってしまい、車側灯が点灯しているため、駅員さんなどが駆けつけて引き抜いたり押し込んだりして対応しているためになります
この車側灯がすべての車両で消えている(=滅灯)していれば、電車は安全に出発できるという合図になるため、車掌さんや駅員さんは指差し確認を行っています
側灯、滅っ!!!
まとめ:電車のドアの仕組みを理解して、快適な鉄道ライフを過ごそう!
この記事のポイント
- 電車には主に「空気式」と「電気式」のドアがある
- 普通列車では「電気式」が主流になりつつあり、新幹線では「空気式」が採用されている
- 電車の遅延の原因はドアである場合が多い
- 車掌さん・駅員さんは車側灯を確認することで、安全を確認している
以上が今回のポイントになります!
身近な物の仕組みを考えることは非常に大切です。電車の仕組みを理解することで
- 遅延を発生確率を減らすことができる
- 物理などが得意になる
- 子供に教えられる
こともあります!快適な鉄道ライフを過ごせるように、これからも発信を続けていきたいと思います!
今回の内容は以下の本を参考にさせていただきました!ドアのこと以外も電車の仕組みが書かれているので、より詳しく知りたい方はぜひ読んでみて下さいね♪
電車が動く仕組みについてもこの機会にぜひ理解を深めてみて下さいね!
それでは、ありがとうございました!