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【換気は大丈夫!?】電車の空調(エアコン)の仕組みを解説!

こんにちは!今回は

疑問を持つ子

電車の空調の仕組みってどうなってるの?

悩む子

換気はちゃんとできてるのかな

こんな疑問に答えていきたいと思います!結論を言うと

シモ

電車の空調は家庭用のエアコンと同じ仕組み!
換気は十分にされているから大丈夫です!

驚く子

いや、そもそも家庭用の空調の仕組みがわからん!

って方もいらっしゃると思いますので、そちらの説明も合わせて行っていきますので安心してくださいね!

この記事で分かること
  • 家庭用の空調(エアコン)の仕組み:冷凍サイクルについて
  • 電車の空調(エアコン)には「集中式」と「分散式」がある
  • 電車の車内の空気を循環する「ラインデリア」について
  • 電車での換気の仕組み

これらを10年間電車整備士を勤めた筆者が解説していきますね!

それでは、よろしくお願いします!

目次

電車と同じ!家庭用の空調(エアコン)の仕組み

疑問を持つ子

そもそもどうやって室内を冷やしているの?

シモ

それは部屋の空気の熱を空調が奪っているから!

熱と言うと

  • 風邪をひいて熱が出た
  • お風呂のお湯が熱い

などのイメージがあると思いますが、熱は熱い所から冷たいところに移動するという性質を持っています!例えば

  • 風邪を引いて熱がある人のおでこを、平熱の人が触れると熱い
  • 風邪をひいて熱がある人がおでこを、平熱の人に触られると冷たい

と感じたことがあるのではないでしょうか?これは熱が熱いところから冷たいところに移動しているためにそう感じます。

この熱の移動する性質を「熱交換」と言います。

この仕組みを利用して部屋の熱を空調が交換することで涼しく感じることができます!

では実際にどういう流れかと言うと、「熱交換器」で熱を交換し、交換した熱を「冷媒」というガスが運んでいくという流れになります。

空調(エアコン)で部屋が冷えるまでの仕組み:冷凍サイクルについて

以下のイメージ図をご覧ください。

空調(エアコン)の仕組み:冷凍サイクル
空調(エアコン)の仕組み:冷凍サイクル
  1. フィルタを通して部屋の空気を取り込みます
  2. 室内熱交換器で部屋の空気の熱は冷媒と交換されて(冷媒に熱を奪われる)、熱がなくなった空気を室内に送風
  3. 熱を交換して熱くなった冷媒は室外熱交換器に運ばれます
  4. 室外熱交換器で冷媒の熱を外の空気と交換して、室外機のファンで熱い空気を外に放出
  5. 熱を交換して冷えた冷媒は再び室内熱交換器に向かい、部屋の熱を奪います

この繰り返しになります!これが簡単な空調の仕組みです。このサイクルのことを「冷凍サイクル」と呼びます。

空調(エアコン)の節電につながる効率の上げ方と理由

よく家庭で空調(エアコン)のフィルタを清掃すると効率が上がると言われるのは、フィルタが詰まっていて吸い込む空気の量が少なくなると、部屋の空気の熱を奪うのに時間がかかってしまうためになります。その分電気代もかかってしまいますね。

また室外機を日の当たらないところに置いた方が良い理由は、室外機の温度が上がってしまうと冷媒の熱を奪いにくくなってしまうからになります!

上級者向け!空調の仕組みをもっと詳しく知りたい方へ

もっと詳しく知りたい!という知的好奇心で溢れている人向けです。飛ばしていただいても構いません。

いくつか予備知識がありますのでご紹介します!

予備知識

予備知識として必要になるものには、以下のものがあります。

  • 断熱圧縮・断熱膨張
  • 蒸発・凝固
  • 気化熱・凝縮熱

それでは順番に解説していきます。

断熱圧縮と断熱膨張

まずは気体の性質として断熱圧縮断熱膨張というものがあることを知っておきましょう!

  • 断熱圧縮:外部から熱の影響がない時(断熱状態)、気体を圧縮すると気体の温度が上昇する
  • 断熱膨張:外部から熱の影響がない時(断熱状態)、気体・液体が膨張すると気体の温度が下がる

ピストンをイメージすると分かりやすいですね!

断熱圧縮と断熱膨張のイメージ
断熱圧縮と断熱膨張のイメージ

水の状態変化

  • 液体→気体に状態が変わることを蒸発
  • 気体→液体に状態が変わることを凝縮

と言います。

気化熱と凝縮熱

続いて「気化熱」「凝縮熱」についてです。

液体は気体に変わる時に周囲の熱を奪う性質があります。これを「気化熱」と言います。

人間が汗をかいて、汗が乾くときに体の熱が下がるのと同じ仕組みです。

また反対に気体から液体に変わる時(凝縮)に周囲に熱を放出する性質があります。これを「凝縮熱」と言います。

以上が予備知識です。

空調(エアコン)で部屋が冷える仕組み:冷凍サイクル(詳細)

では空調のサイクルに戻ります

空調の仕組み(詳細版)
空調の仕組み(詳細版)
  1. 室内熱交換器で液体状態の冷媒を蒸発させることで気体に変わり、部屋の熱を奪います(気化熱)。熱が奪われた空気は室内送風機にて部屋に冷風として送風
  2. 室外機に運ばれた気体状態の冷媒は圧縮機(コンプレッサー)で圧縮されることで高温になります(断熱圧縮)
  3. 室外熱交換機で気体状態の液体を凝縮させることで液体に変わり、冷媒の熱を吐き出します(凝縮熱)。放出された熱は室外送風機にて室外に送風
  4. 一般に室外機の中にある膨張弁で液体状態の冷媒が膨張することで温度が下がっていきます(断熱膨張)

この繰り返しになります。

コンプレッサーで圧縮して高温にするのは、外気(例えば40℃)よりも高い温度にしなければ冷媒の熱が外に放出できないためになります。

ちなみに空調の使用する電力の8割はコンプレッサーだそうです(出典:ダイキン

暖房に関してはこのサイクルを逆回転することで、温風を室内に送り込んでいます!

また電車では座席にヒーターを使用することで、お客さまが寒くならないようにもしています。座席のヒーターの仕組みは電気の抵抗とは?の記事で詳しくお話していますので、ぜひ合わせて学んでみて下さいね♪

~参考終わり~

電車の空調(エアコン)の仕組み

電車のユニットクーラー(丸いところが室外送風機のファン、あみあみの所が熱交換器)
電車のユニットクーラー(丸いところが室外送風機のファン、あみあみの所が熱交換器)

電車の空調も家庭用の空調と冷やす仕組みは同じになります。ただし電車の場合は室内機と室外機が一体になっていて、これをユニットクーラーと呼びます。

シモ

電車の屋根上についてる箱がまるまる空調装置だよ!

また電車の空調方式は2つあり

電車の空調方式
  • 集中式:冷房装置を1つは位置してダクトを通して車内に冷気を送風
  • 分散式:冷房装置を4、あるいは8つ配置して車内に冷気を送風

この記事では近年で採用の多い集中式について解説します。

室内の熱交換機で冷やされた空気はダクトを通して車内に送風されます。

そして車内の空気は車内中央にあるフィルタを通して熱交換器に行き、循環していきます。室外機は上向きについていて、外に熱を放出しています。

家庭用と電車の空調(エアコン)の違い

ここで家庭用と違うポイントが2つあります。

家庭用と電車の空調の違い
  • 車内の空調のフィルタは巻き取り式になっている
  • 外気からの新鮮な空気を取り込んで車内に送風している

家庭用と電車の空調(エアコン)のフィルタの違い

家庭の空調においても、定期的にフィルタを清掃しないと空気が上手く循環せずに空調の効率が落ちてしまいます

電車の場合も同じですが、家庭用と異なるポイントは

  • 車内には多くのお客さま
  • ホコリがたまっているのを見つけてからすぐに清掃できない

といった問題点があるため、それを克服するために定期的にフィルタが巻取られていって常に綺麗なフィルタ面が露出されるように工夫されています。これを「ロールフィルタ」と言います。

コロナ対策!電車の空調は外気からの空気を取り込み換気する

車内は外が暑かったり、寒かったり、雨が降っていれば基本的には窓を閉めた状態で走行しています。この状態では次の駅に停車してドアが開くまで車内の空気の換気は出来ません。

シモ

満員電車では特に息苦しくなってしまいますよね

なので空調から外気を取り込み、室内送風機で車内に送風することで車内の換気を図っています

ただし外気が暑すぎる場合や寒すぎる場合は車内の温度が変化してしまうので、取り込み口を開け閉めして調整したり、ヒーターを通して温めてから車内に送風するような仕組みになっています。

※コロナ禍においてはほぼフル稼働しています

車内の空気を循環!空調(エアコン)のラインデリアとは

車内のロールフィルタとラインデリア
車内のロールフィルタとラインデリア

車内に送風された空気は上手く攪拌することで車内に冷気が行き渡ります。この役割を果たしているのが

  • 古いタイプの電車では扇風機
  • 車内中央に設置されたラインデリア

になります。扇風機では車内のスペースが狭くなってしまい、少しうっとおしさがあるため、近年の電車ではラインデリアを採用している車両が多いです。
ラインデリアは棒状の送風機で、縦長の車両に沿って車内の空気を攪拌してくれます。

ちなみにラインデリアというのは三菱の商品名なので、「横流ファン」「軸流送風機」なんて言ったりします

電車の車内の空気の循環
電車の車内の空気の循環

電車の空調(エアコン)の換気の仕組み

先ほどお伝えしたように車内には外気を取り込んでいるので基本的には換気はされています

また新幹線などの窓が開けられない密閉空間においても同様に外気による換気がされているので、コロナ禍においては窓を開けないと不安に感じることもあるかと思いますが、安心してご乗車していただければと思います

※ただし、窓を開けていれば換気能力が高まることも事実です。コロナ初期では窓の開け閉めによる車内のお客さまトラブルが散見されました。

まとめ:電車の空調(エアコン)の仕組みを理解して、安心して電車に乗ろう!

いかがでしたでしょうか?

今回はかなり物理的な話もあったので、少し難しい部分があったかもしれません。

しかし、空調の仕組みを知ることで家庭の空調の節電につなげられることもあるので、ぜひ理解しておくと良いと思います!

家庭でのフィルタの定期的な清掃や、室外機を日の当たらないところに設置するなどは仕組みが分かると理解が深まりますよね!

空調の水漏れやドレンについての話はこちらの記事でお話しています!

またコロナ禍においてリモートワーク出来る人ばかりでなく、通勤しないといけない方も多くいらっしゃると思いますが

今のところ電車の車内でクラスターが発生したという話は出ていないので、マスクを着用のうえ、安心してご乗車していただけたらと思います

他にも車両の各機器についても解説してますので、ぜひ理解を深めてみてはいかがでしょうか?

ちなみに電車の暖房については空調からではなく、座席を温めているものが一般的になります!

座席のヒーターの仕組みは抵抗の記事で詳しくお話していますので、ぜひ合わせて学んでみて下さいね♪

シモ

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

電車を好きになろうブログでは、鉄道マン歴10年の筆者が鉄道に関することを記事にしております。

ぜひ他の記事と合わせて鉄道に興味を持っていただけたら幸いです!

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