こんにちは!
電車整備士ってどんな仕事なの?
そもそも電車の整備って必要なのかな?
こんな疑問や悩みを解決していきます!
電車整備士と言ってもいろんな仕事があるよ!
ぜひどんな仕事があるか知って興味を持ってみてね!
最近ではメディアで紹介されることも増えてきた電車整備士の仕事。車両基地に潜入したりして仕事内容を紹介しているのを見たことがある方もいらっしゃるかもしれません
しかし番組で紹介されているのは時間の関係で一部なので、実際にはもっと多くの仕事があります!
そこで今回は電車整備士の仕事を詳しく紹介していこうと思います!
- 電車の整備の項目や基準は国土交通省の省令で決まっている!
- 電車整備士の仕事は主に3種類に分かれている!
- 整備以外にも品質管理、設計業務、運行管理など仕事は多岐に渡る!
10年間電車整備士を務めた筆者が電車整備士の仕事についてご紹介します!
それでは、よろしくお願いします!
電車整備士の仕事は省令で決まっている
そもそも電車を整備することは国土交通省の省令によって決まっていて、各鉄道事業者(各社JRや私鉄)はその省令に基づいて日々電車を整備し、走らせています
この省令を「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」と呼びます。これは「鉄道営業法」という日本の法律に基づいて制定されています。以下、一部抜粋します
(施設及び車両の定期検査)
第九十条 施設及び車両の定期検査は、その種類、構造その他使用の状況に応じ、検査の周期、対象とする部位及び方法を定めて行わなければならない。
2 前項の定期検査に関する事項は、国土交通大臣が告示で定めたときは、これに従って行わなければならない。
出典:鉄道に関する技術上の基準を定める省令より(e-Gov法令検索)
このように定められており、車両の定期検査は
- 車両の種類
- 車両の構造
- 車両の使用状況
に応じて検査周期、検査対象の部位、検査方法を決めて下さいとなっています
つまりこの省令の内容に基づき、各鉄道事業者が整備基準を定めてどう検査を行うかを決めています
車両の構造や安全性について解説した記事はこちら!
電車整備士の仕事は大きく3つに分かれる!
電車整備士の仕事は大きく3つに分かれます
- 電車全体を在姿(分解していない)状態で定期検査・修繕
- 電車を分解して、パンタグラフや台車などの各部品ごとの整備
- 電車にトラブルがあった際に緊急的な故障の対応
それぞれについてお話します
電車整備士の仕事①電車全体を在姿(分解していない)状態で定期検査・修繕
電車は分解して大掛かりな整備(オーバーホール)をしようとすると、検査の種類にもよりますが1週間程度かかってしまいます
1週間お客さまを乗せられないのはもったいないよね…
なので毎回オーバーホールはせずに、日常的に分解をしない状態でお客さまを乗せて走るのに問題がないかをチェックします。それと同時にブレーキの制輪子などの消耗品の交換作業も行っています
これを列車検査・交番検査・機能検査などと呼びます
特徴としては、電気が通っている状態(通電または加圧状態と言います)での検査になるので
- 感電の危険性が高い
- 電車が動く可能性がある
- 屋根上の検査を行う際に転落する危険性がある
これを鉄道三大労災と呼んだりします。一方でメリットとしては
- 通電状態の電車の動きを確認することで、電気回路の経験的な理解が深まる
- 電車に異常があった時に止め方が分かる
- 電車の動く仕組みの全体像を理解することができる
などがスキルとして身につくことが挙げられます
電車の仕組みを理解したい人にはおすすめ!
電車整備士の仕事②電車を分解して、パンタグラフや台車などの各機器ごとの整備
電車を分解して、パンタグラフや台車などの各部品に分けます。その後、各機器のプロフェッショナルが集中的にメンテナンスを行います
これは先ほどの列車検査などとは違い、大掛かりな検査になるため、1週間ほど車両が使えなくなってしまいます
その分、各機器を徹底的にメンテナンスしてあげることで寿命を延ばしたり、より良い状態で走れるようになります。具体的には
- 各機器の消耗品を取り替える
- 分解してグリスアップ(古い油を清掃して、新しい油を塗り直す)する
- 亀裂や錆などの損傷がないか検査をし、溶接などで補強する
などを行います。この仕事の特徴は各機器はどれもかなりの重量物であるため
- 衝撃によるケガが発生した場合に深刻化しやすい
- 部品の運搬時に事故が起こりやすい
- 基本的には通電状態でないため、電気に関する知識が希薄になるので危ない
一方で、メリットとしては
- 各機器に対して専門的な知識が身に付く
- 溶接などの専門的な技術が身に付く
- 機械の構造や電子機器の資格を取得しやすい
ことがあげられます
1つの機器について極めたい人におすすめ!
電車整備士の仕事③電車にトラブルがあった際に緊急的な故障の対応
メンテンナンスを定期的に行っていても外的な要因(予期せぬトラブル)で故障が発生してしまうことがあります
営業線でお客さまを乗せている際に故障が発生した場合に
- お客さまに影響がなく、走行中に対応できるもの
- お客さまに影響はないが、走行中に対応できないもの
- お客さまに影響があり、走行させることが出来ないもの
以上に分かれます。
1に関しては整備士が出動して走行中に対応します(運転士さん等が対応することも)
2と3に関しては車両交換と言って、車両基地に取り込んだのちに修繕を行います。
※故障の種類は多岐に渡りますし、みなさんを不安にさせるわけにはいかないので故障内容に関しては本記事では省略いたします。
- 決められた手順があるわけではないので、状況と対策を冷静に考える必要がある
- 営業線での対応はお客さまにご迷惑をかけてしまう恐れがある
- 走行に支障があるかの判断が求められる
などがあり、知識と経験が必要とされる高度な仕事です。一方で故障対応をすることで身に付くことも多く
- 総合的な知識と技術
- イレギュラーな事象に対する対応力と判断力
- 多くの関係箇所との調整能力
などがあげられます
多くの関係箇所ってどこ??
整備士からの派生で整備以外にもいろんな仕事があるよ!
次で紹介するね!
電車の整備以外にも品質管理、運行管理など仕事は多岐に渡る!
先ほど「多くの関係箇所」と言いましたが、電車を走らせることは非常に多くの人たちのチームワークによって成り立っています。ここでいくつかご紹介します!
電車の整備以外の仕事①品質管理
省令に従っていつ、どうやって、どこをメンテナンスするかなどを決めている部署になります。
また今のメンテナンス方法が最適であるかの検討・見直しも行っています。故障が発生した際には
- 故障の原因はなんだったのか調査
- ほかの車両においても発生する可能性があるか検討
- 各部品メーカーと相談して対策を検討
などを行っています。メンテナンスの頭脳ともいえる部署ですね!
電車の整備以外の仕事②運行管理
車両ごとにどのくらいの日数、距離を走っているかを管理して、定期検査の周期を管理しています。
日数や距離の計算を間違えて規定を超えてしまうと省令違反になってしまうため、非常に重要な仕事です。
また車両が故障した場合には
- どのタイミングで車両基地に取り込むか
- 代わりにどの車両を出すか
- 車両基地で何番線に取り込むか
- 検査周期が期限切れになってしまわないか
などを管理しています。
その他にも、メンテナンス設備の管理、車両機器などの材料・資材の手配、各車両機器メーカーとの契約・調整など、様々な仕事の人とのチームワークでメンテナンスは成り立っています!
まとめ:電車整備士には多くの仕事があり、いろんな人とのチームワークでメンテナンスが成り立っている!
- 電車の整備の項目や基準は国土交通省の省令で決まっている!
- 電車整備士の仕事は大きく3つに分かれている!
- 整備以外にも品質管理、設計業務、運行管理など仕事は多岐に渡る!
いかがでしたでしょうか?
きっと想像よりも多くの仕事があると思ったのではないでしょうか?
実際に整備を行う整備士以外にも、実に多くの関係者でメンテナンスは成り立っています!
整備士になる人にもいろんな道を目指す人がいますので、この記事が興味がある方の参考になったら幸いです
電車整備士になるのに必要な学歴はどうなの?という疑問にも答えていますので、そちらも合わせて参考にしてみてくださいね!
また鉄道は整備士以外にも駅員や乗務員など様々な人たちが一丸となって仕事することで日々安全に走行しています。整備士以外の鉄道の仕事についても紹介しておりますので、ぜひ合わせてご覧いただければと思います。
それでは、ありがとうございました!