こんにちは!
今回は電車の乗車率はなぜ重要なのかを物理的に解説してます!
乗車率って把握する必要あるの?
運転に何か関係あるのかな?
こんな疑問を解決します!
満員電車とはどれくらいの乗車率?という記事で乗車率を把握することは
- 電車のスピード(加速・減速)をコントロールする上で重要
- 非常事態にどのくらいのお客さまに影響があるか大まかに把握する必要がある
というお話をしました
ではなぜ電車のスピードをコントロールするのに乗車率が重要なのか
電車整備士歴10年の筆者がお話していきます!
- 電車の速度をコントロールする上で加速度は一定に保つ必要がある
- 乗車人数によって重さが変わるので、加速度を一定に保つためには乗車率の把握が大事
- 乗車率に応じた加速度の制御を「応荷重制御」と呼ぶ
それでは、よろしくお願いします!
ニュートンの第二法則(運動方程式)
物体にはたらく力の大きさは物体の質量(重さ)と物体が動く勢い(加速度)を掛け算したものである。
F(Force:力) = m(mass:質量) × a(acceleration:加速度)
です。非常に重要な法則です!電車においては
- F:電車を動かしたり、止めるための力
- m:電車そのものの重量+お客さんの重量
- a:電車の加速度または減速度
となります。電車のスピードに関係があるのは加速度aです
この加速度にばらつきがあると運転士さんは毎回コントロールが大変になってしまいます
- 力行(アクセル)を入れても所定速度に達するまでの時間がばらばら
- ブレーキを入れても停止精度がばらばら
これでは運転するのはかなりハードモードですよね
なので加速度を一定にすることは重要な課題なんですね
ではどうすれば加速度を一定にできるのか考えていきましょう
加速度を一定にするには
鉄道車両の加速度を一定にするには、先ほどの運動方程式を、加速度を求める形に変えてみましょう!
a = F / m
となります。ここでmは電車そのものの重量+お客さんの重量です
電車そのものの重量は変化しないので、変化するのはその時に乗っているお客さんの重量です
これが乗車率に相当します
今回は単純化するために
- 電車そのものの重量は考えない
- 乗車率は重さとして考える
こととします。そして仮に加速度aを1で一定にしたいとします
A:お客さんの重量が100(乗車率低い)
B:お客さんの重量が1000(乗車率高い)
とすると、力Fは
A:100
B:1000
にすれば加速度aを1にできます
つまり
- お客さんがたくさん乗っているなら大きな力で動かす・止める
- お客さんがあまり乗っていないなら小さい力で動かす・止める
必要があることが分かります!
ニュートンの法則についての電車との関係は別の記事で書いてますので、ぜひ理解の助けにしてください!
応荷重制御とは
お客さんの乗車率に応じて電車を動かす力を変化させることを応荷重制御と呼びます
運転士さんが乗車率を毎回把握してコントロールすることは至難の業です
そこで制御装置の方で、乗車率の情報をインプットしておき、その情報をもとに動かす力をコントロールしていく
これが応荷重制御となります
※乗車率の情報をインプットするのは空気バネから情報を得ています
しかし、これはあくまでもアシスト的なものなので、やはり運転士さんの力量が重要になることは間違いありません
ちなみに雨の日など天候によっても制御が難しくなるのが鉄道の課題でもあります
まとめ:乗車率は安全と遅延の防止の実現に非常に重要な要素である!
- 電車の速度をコントロールする上で加速度は一定に保つ必要がある
- 乗車人数によって重さが変わるので、加速度を一定に保つためには乗車率の把握が大事
- 乗車率に応じた加速度の制御を「応荷重制御」と呼ぶ
今回は運動方程式にもとづいて加速度の計算シミュレーションしてみました
なかなか普段気にすることもないかと思いますが、考えてみると意外と面白いですよ!
自転車に重たい荷物を乗せたら
こぐ時にいつもより力が必要ですよね?
簡単な物理の計算もできるようにしておくと、日常生活で役にたつことも多いですよ!
日頃乗る電車の乗車率について考えた記事もあわせて読んで理解を深めてくださいね♪
それでは、ありがとうございました!