こんにちは!
電車に乗ってるとブォォォッ!!って音が聞こえてくるんだけど何っ!?
音と一緒に振動が来るんだけど大丈夫なの?
今回はこんな疑問にお答えします!
ずばり音の正体は「コンプレッサー」になります!
以前に三菱の不正検査があったことが発覚したことに伴い、コンプレッサーとは何かという記事を書きました。
今回はそちらで書ききれなかった、音の正体である電車に使うコンプレッサーの種類についてお話します。コンプレッサーには種類がいくつかあり、音や特徴が異なります。
最近よく採用されているオイルフリーコンプレッサーについてもお話しますね!
- 音の原因はコンプレッサーの稼働音
- 電車におけるコンプレッサーの種類と特徴
- オイルフリーコンプレッサーについて
- コンプレッサーオイルの4つの役割について
電車整備士歴10年でオイルフリーコンプレッサーの
メンテナンス経験のある筆者が解説します!
それでは、よろしくお願いします!
電車の床下から聞こえるブォォ!という音の正体
電車に乗っているとたまに大きな音が聞こえてくることがあると思います。これは床下についているコンプレッサーが稼働する音になります。
音と同時に振動が来ることもあるかと思いますが、こちらもコンプレッサーが稼働することによる振動です。
ではなぜ音がしたり止まったりを繰り返しているのでしょうか?
答えは圧縮空気が足りなくなったらコンプレッサーが動作して
タンクに圧縮空気が溜まったら停止するのを繰り返しているから!
電車のコンプレッサーが作った圧縮空気は主に
- ブレーキの動作
- ドアの開閉
- パンタグラフの上げ下げ
などで使用することはコンプレッサーの役割と重要性の記事でお話しました
圧縮空気の流れとしては
となっているので、各機器で使用してタンクの貯蔵量が減ったらコンプレッサーが稼働します。そして圧縮空気を作りすぎても配管が破裂してしまうので、ある程度貯蔵量が確保できた段階で停止します。
これを繰り返しているので、音や振動がしたり止まったりを感じるんですね!なので音や振動があっても故障じゃないので大丈夫です!!
電車で使用するコンプレッサーの種類と音の違い
大まかに分類すると、レシプロ式・スクリュー式・スクロール式が主に採用されています。それぞれの特徴を見ていきましょう!
レシプロ式コンプレッサー
これはエンジンのようにピストンが上下することで圧縮空気を作成するタイプになります。
レシプロとはreciprocatingの略で「往復運動」を意味します。
- 構造がシンプルでリーズナブル
- 振動・騒音が大きい
- 吐出量が大きい
スクリュー式コンプレッサー
これはオス・メス1対のスクリューロータが回転していき、ロータがかみ合うことでネジ部のすき間が埋まっていき、空気が圧縮されるという仕組みです。
- 振動・騒音が少ない
- 圧縮効率が良い
スクロール式コンプレッサー
これは渦巻き状の圧縮部が回転することで空気を圧縮していくタイプになっています。
- 振動・騒音が少ない
- 吐出量が少なめ
以上のようにコンプレッサーのタイプが分かれています。
いずれのコンプレッサーでも電車においては以前は電源は直流の架線電源を使って直流モータを回していましたが、現在は三相交流を使って交流モータを回すのが主流となっています。
オイルフリーコンプレッサーとは
近年ではオイルフリーコンプレッサーを採用する鉄道会社が増えています。オイルフリーコンプレッサーとは、その名の通り潤滑油が不要のコンプレッサーになります。
従来のコンプレッサーではピストン部やロータの接触部で摩擦が起きてしまうために潤滑油を使用していました。オイルフリーコンプレッサーではそのような場所を非接触にすることで潤滑油が不要となっています。
しかし非接触になった分、すき間が空いてしまうのでやや効率が落ちてしまうことが課題です。
オイルフリーコンプレッサーを採用することで
- 潤滑油の定期的な交換が不要
- 圧縮空気に油が混入してしまい、機器の不具合につながるリスクの低減
といった効果が期待できるので、メンテナンスの省力化につながっています。
こちらの記事で紹介している東京メトロ半蔵門線の新型車両や山手線の新型車両でもオイルフリーのコンプレッサーが採用されています。
電車のコンプレッサーのオイルの役割について
全部オイルフリーにしちゃえば良いじゃん!
オイルにも大事な役割があるよ!
- 密封:オイルが隙間を埋めてくれることで圧縮効率UP
- 冷却:稼働部の摩擦による温度上昇を防ぐ
- 清掃:稼働部の摩擦により発生する鉄粉などを清掃する
- 潤滑:稼働部の摩擦の抵抗を減らす
があります。定期的なメンテナンスは手間が必要ですが、メリットもあるんですね!
まとめ:電車の床下からのブォォ!はコンプレッサーが動作している証拠!種類と特徴を把握して、音を比べてみよう!
- 電車の床下からのブォォ!音はコンプレッサーの動作音
- コンプレッサーの種類によって音や振動の大きさが異なる
- 近年は潤滑油が不要のオイルフリーコンプレッサーを採用する車両が増加中
- コンプレッサーのオイルには4つの役割(密封・冷却・清掃・潤滑)がある
以上がまとめになります。
電車を利用していてあまり音や振動を気にすることも少ないかと思いますが、仕組みを理解することで不安に思うことなく快適にご乗車いただけたら幸いです!
ちなみに整備士はコンプレッサーの動作音を聞き分けて正常かどうかの検査も行っています。
五感を研ぎ澄ませることが大事です!
もちろん味覚は不要です笑
もしコンプレッサーの音を意識したことがなかった方は、駅に停車するさいにブレーキを使用した後は稼働する確率が高いので聞けるチャンスです!ただすべての号車に搭載されているわけではないのでご注意を。
その他圧縮空気を利用している機器の解説も読んでみて、電車に対しての理解を深めてみましょう!
こちらからどうぞ!(ブレーキ、ドア、パンタグラフ、空気バネ)
それでは、ありがとうございました!