こんにちは!
今回は電車のブレーキ、止まる仕組みについてお話します!
電車ってどうやって止まっているの?
電車のブレーキの仕組みってどうなっているんだろう
そんな疑問にお答えします!
電車のブレーキには非常にたくさんの種類があります。その中でも多く採用されている仕組みの
- 機械的な力で止まる機械式ブレーキ
- 電気的な力で止まる電気式ブレーキ
について、それぞれの仕組みを解説していきます!
- 電車のブレーキには粘着式と非粘着式があるが、多く採用されているのは粘着式
- 粘着式の中でも多く採用されているブレーキが機械式ブレーキと電気式ブレーキ
- 機械式ブレーキの中の踏面ブレーキとディスクブレーキの仕組みについて
- 電気式ブレーキの中の発電ブレーキと回生ブレーキの仕組みについて
それでは、よろしくお願いします!
仕組みごとに分類される電車のブレーキの種類
電車のブレーキには仕組みごとに分類されていて、大きく分けて
- 車輪の回転力を直接減らして減速させる粘着式
- 車輪には直接作用せずに減速させる非粘着式
があります。非粘着式はイメージしづらいかと思いますが、以下のようなものがあります。
- ブレーキパッドをレールに押し当てることで減速する
- リニアなどの電磁力を使って減速する
- 空気板を出現させて空気抵抗で減速する
一般的な電車では粘着式のブレーキが採用されていることが多いので、今回は粘着式についてお話しします!
電車のブレーキの仕組み:粘着式ブレーキの種類
粘着式ブレーキにもさらに仕組みによって細かく分類されていきます。その中で大きく分けて
- 車輪に対して機械的にブレーキ力を与える「機械式」
- モーターを発電機として利用することで、回転力をブレーキ力に変える「電気式」
があります。この2種類が現在の電車における主流なので、これらについて解説していきます!
電車における機械式ブレーキの仕組み
と言った定義になりますが、ちょっとわかりづらいかと思うので言い方を変えると
と言い換えることができます。これは自転車のレバーを握るとブレーキパッドがタイヤを挟むことで、ブレーキパッドとタイヤに摩擦力が発生して自転車が止まる仕組みと同じです!
機械式のブレーキにもさらに種類がありますが、電車の場合は主に「空気式ブレーキ」と呼ばれるブレーキタイプを採用しています。これは圧縮空気の力を使ってブレーキパッドを押し付けて、ブレーキ力を発生させているタイプになります。
この空気式のブレーキ装置には
- 踏面ブレーキ:車輪に制輪子を押し付けてブレーキをかける方式
- ディスクブレーキ:車輪や車軸に取り付けたブレーキディスクを制輪子で挟むことでブレーキをかける方式
の2つがあります。それぞれ解説していきます!
圧縮空気を作っているのはコンプレッサーになります。コンプレッサーについて詳しく知りたい方はこちら
電車の車輪踏面に制輪子を押し付ける仕組みの「踏面ブレーキ」
車輪がレールに接触する面を「踏面(とうめん)」と言います。ちなみに建築用語では階段の足を乗せる面のことを「踏面(ふみづら)」と言うそうです。
鉄道用語では踏面(とうめん)
よく出てくる言葉なので覚えておきましょう!
また制輪子(せいりんし)とは自動車や自転車でいうところのブレーキパッドに当たります。
言葉だけだと分かりづらいと思うので、イメージ図を参考にしてください!
イメージ図では片側から制輪子を押し付けていますが、両側から押し付ける「両抱き式」というタイプもあります。
踏面ブレーキでは車輪の形を整えるような清掃を行う役割も持っています。また雨や雪などの天候を受けやすいので、確実に止められる性能が求められます。
電車の車輪や車軸に付属したディスクを挟み込む仕組みのディスクブレーキ
ディスクブレーキは以下のようなイメージになります。
ディスクブレーキでは車輪踏面に直接摩擦力を与えることがないため、ブレーキによって車輪が削れる負荷は少なくなります。そのため高速度で走行する新幹線では踏面ブレーキは用いられず、機械式はディスクブレーキのみになっています。
ディスクブレーキはモーターが搭載されているモーター車(M車)では車軸にディスクを取り付けることができないため、モーターが付いていない付随車(T車)に付いていることになります。
モーターが付いているM車、モーターが付いていないT車についてはこちらで解説しております。
電車のブレーキに使う制輪子の種類
制輪子はブレーキパッドと同じ役割になりますが、電車の場合は使う素材がいくつかあります。
- 鋳鉄制輪子
- レジン制輪子
- 焼結合金制輪子
などがあります!車輪がすり減ってしまうと車輪を交換するのは大変なので、いずれにおいても車輪(鉄)よりも制輪子の方が消耗するような材質を採用しています。
また高速度で走行する路線ほど、高い負荷に耐えられるような制輪子を用いています。
制輪子などの消耗品の交換は整備士が定期的に行なっています。整備士の仕事について知りたい方はこちらから
また、車輪と制輪子の隙間をなくすことで雪がかみこむことを防ぐ耐雪ブレーキについてもご紹介しております
電車の空気ブレーキのメリット・デメリット
最後に、空気式ブレーキにはメリットとデメリットがあるので、まとめておきます。
- 変電所トラブルなどで電気がない時でも確実に動作し、止めることができる
- モーターが付いていない車両でも配管を設置してブレーキを使うことができる
- 制輪子などの消耗品の交換が発生してしまう
- 異物が隙間に挟まることで摩擦による火災が発生する恐れがある
電車における電気式ブレーキの仕組み
なんのこっちゃ??
って感じですよね?モーターと発電機って実は仕組みは同じで、電気の流れが変わると発電機として使えます。
例えば、皆さんは自転車に乗っているときに暗くなってきたらライトを点けると思います(最近は暗くなると自動で点灯する蛍式が主流ですが…)。ライトを点けるのに切り替えた際に自転車が重くなったと感じた経験はありますでしょうか?
それこそが、発電機として使うことで回転の抵抗力になっているということです。回転エネルギーを電気エネルギーに変換することで、回転エネルギーが弱くなっているというイメージです。
詳しくはフレミングの左手の法則・右手の法則を読むと理解できると思うので合わせてご覧ください!
電気ブレーキにも方式が分かれており
- 発電ブレーキ:発電機で作った電気を抵抗で消費する方式
- 回生ブレーキ:発電機で作った電気を架線に返して他の車両で使う方式
の2種類があります。
え、回生ブレーキの方が良くない!?
その通り!
今はエコの観点でも回生ブレーキが主流だよ!
少し古いタイプの電車では発電ブレーキを採用していて、抵抗で電気を消費して熱として捨ててしまう仕組みでした。
現在の新しい電車ではほとんどが回生ブレーキを採用しており、架線に返した電気を他の車両で使うなどして、電気を無駄にしない仕組みになっています。
ちなみに回生ブレーキは自動車でも使われていて、ブレーキをかけるとバッテリーが充電される仕組みになっています!これは自動車の回転エネルギーを電気エネルギー(バッテリー充電)として使うことで、抵抗力となる仕組みになります。
車では充電しなくてもバッテリーが無くならないのはこのおかげ!
電車の回生ブレーキの仕組みについて詳しくはこちらの記事で書いておりますので、ぜひ合わせてご覧いただければと思います。
電車の電気ブレーキのメリット・デメリット
最後に電気ブレーキのメリットとデメリットについてまとめます。
- 回生ブレーキならばエネルギーを無駄にしないのでエコである
- 制輪子や車輪に直接負荷をかけないので、消耗品の交換頻度が減る
- モーターが付いていない車両では電気ブレーキは作れない(発電できない)
- 回生ブレーキとして使う場合には近くに電気を使用する車両がいないと使えない
- 低速域ではモーターの回転力が小さくなるので、ブレーキ力も弱まってしまう
まとめ:電車のブレーキには種類がたくさんある!仕組みを理解して安心して電車に乗ろう!
- 電車のブレーキには粘着式と非粘着式があるが、多く採用されているのは粘着式
- 粘着式の中でも多く採用されているブレーキが機械式ブレーキと電気式ブレーキ
- 機械式ブレーキには踏面ブレーキとディスクブレーキがある
- 電気式ブレーキには発電ブレーキと回生ブレーキがある
今回は電車のブレーキについてお話ししましたが、ご理解いただけたでしょうか?
電車にはたくさんのお客さまの安全を守り、確実に行く先に届けるという使命があります。そのために確実に電車を止めるということが非常に重要になっています。
電車のブレーキにはいくつかの種類のバックアップがとられているので、安心してご乗車いただければと思います!
電車のブレーキと一緒に電車が動く仕組みについても勉強していきましょう♪
それでは、ありがとうございました!