こんにちは!今回は
電車と列車ってなにが違うの?
こんな疑問にお答えしていきます!駅で電車を待っていると
- 電車がまいります
- 列車がまいります
2つのアナウンスが流れていることに気が付いたことはございませんか?少しマニアックですが、実は明確に使い分けられているんです!
- 電車とは電気で動く車両のこと。車両を動かす仕組みの1つ
- 列車とは営業線の線路を走る車両のこと
- 電車がまいりますと列車がまいりますはJRならではの呼び方の違い
電車と列車の違いを知って、かしこく使い分けよう!
それでは、よろしくお願いします!
電車と列車の違い
簡単に話すと
- 電車とは:電気で動く車両のこと。車両の仕組みの1つ
- 列車とは:営業線を走る車両のこと
を言います。じつは「電車」も「列車」も明確に定義がされています。鉄道には「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」という国土交通省が定めた省令があります。そちらを詳しくみていきましょう!
電車とは?
「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」には車両の定義を以下のように定めています。
車両:機関車、旅客車、貨物車及び特殊車(除雪車、軌道試験車、電気試験車、事故救援車その他特殊な構造又は設備を有するものをいう。)であって、鉄道事業の用に供するものをいう。
鉄道に関する技術上の基準を定める省令 第一章 総則の第二条より抜粋
この定められた「車両」のうち、電気で動く(電気を動力とする)ものを「電車」と言います。電車は基本的にはパンタグラフなどの「集電装置」と呼ばれる装置で電気をもらい、その電気でモーターを回転させることで車両を動かしています。
ちなみに電車は英語でElectric car(EC)と言います。
電車の種類
電車には集電装置で受け取る電気の種類によってタイプが分かれます。
- 直流電車:直流電気を受け取って動く電車
- 交流電車:交流電気を受け取って動く電車
- 交直流電車:直流電気の区間と交流電気の区間の両方を走る電車
に分かれます。詳しくは直流電車と交流電車の違いについて書いている記事をご覧いただければと思います。
また、電車はすべての車両にモーターが付いているわけではなく、編成の中で
- モーターが付いている車両を電動車(M車)
- モーターが付いていない車両を付随車(T車)
として分けています。こちらについてもM車とT車の違いについて記事を書いておりますので、ご覧いただければと思います。
列車とは?
「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」には列車の定義をこのように定めています。
列車:停車場外の線路を運転させる目的で組成された車両をいう。
鉄道に関する技術上の基準を定める省令 第一章 総則の第二条より抜粋
では停車場とはなんでしょうか?それに関しても定義がされています。
停車場:駅、信号場及び操車場をいう。
鉄道に関する技術上の基準を定める省令 第一章 総則の第二条より抜粋
さらに駅、信号上、操車場に関しても定義されています。
駅:旅客の乗降又は貨物の積卸しを行うために使用される場所をいう。
信号場:専ら列車の行き違い又は待ち合わせを行うために使用される場所をいう。
操車場:専ら車両の入換え又は列車の組成を行うために使用される場所をいう。
鉄道に関する技術上の基準を定める省令 第一章 総則の第二条より抜粋
以上のように各用語について定義されていますが、少し難しいですよね?「停車場以外の線路を運転させる目的」というのは
- お客さまを乗せる
- 荷物を運ぶ
- 回送として車両基地に向かう
- 線路の検査のために走行する(ドクターイエロー的な)
などが該当します。つまり簡単に言い換えると、「列車とは営業線を走る車両」ということが出来ます。
ちなみに列車は英語でTrainと言います。
いろいろな種類の列車
列車にはいろいろな種類があります。例えば
- 普通列車
- 急行列車
- 特急列車
- 観光列車
- 回送列車
- 臨時列車
などなど、目的や用途によって列車の種類が異なります。走行している列車には番号がついていて、
- 行先
- 発着時刻
- 停車駅
などを管理しています。この番号を列車番号と言います。
列車じゃない車両とは?
「列車とは営業線を走る車両」と簡単に言い換えてご説明しました。では
列車じゃない車両ってあるの?
という疑問に答えると、例えば
- 駅に留置してある車両
- 車両基地に留置してある車両
などは「営業線を走る」ことはしないので、「ただの車両」ということになります。ちなみに車両基地内の移動(転線と言います)であっても、「操車場外」に該当しないので列車ではありません。
車両は、列車としてでなければ停車場外の本線を運転してはならない。ただし、車両の入換えをするときは、この限りでない。
鉄道に関する技術上の基準を定める省令 第十章 運転の第九十八条より
電車と列車の違い
電車と列車とはをそれぞれお話ししましたが、まとめると
電車 | 列車 | |
---|---|---|
営業線を走る、お客さまを乗せて電気で動く車両 | 〇 | 〇 |
車両基地にいる、お客さまを乗せて電気で動く車両 | 〇 | × |
営業線を走る、お客さまを乗せない電気で動く車両 | × | 〇 |
営業線を走る、お客さまを乗せてエンジンで動く車両 | × | 〇 |
以上のように分けることが出来ます。
しかし、JRの駅では例えば湘南新宿ラインなどでは電車でもあり列車でもあるのに「列車がまいります」とアナウンスされます。一方山手線では「電車がまいります」とアナウンスされます。この違いについて見ていきましょう!
電車がまいりますと列車がまいりますの違い
「電車がまいります」と「列車がまいります」の違いはなにかというと、JRでは走っている線路によって呼び方を分けています。JRでは
- 近距離を走る路線を「電車」
- 長距離を走る路線を「列車」
と呼び分けています。これは現在のように都心部で電車が発展する前に、長距離路線では蒸気機関車などが走っていて、近距離路線で次第に電車が普及していった経緯があるためです。当時は
- 近距離を電車が走る路線を「電車線」
- 長距離を蒸気機関車が走る路線を「列車線」
と呼び分けていたそうです。その名残により、今でも「電車がまいります」「列車がまいります」と呼び方の違いがあります。
ちなみに湘南新宿ラインの赤羽~大崎の区間も昔は旅客を乗せる線と貨物を運ぶ線とで分けて使用していましたが、人口の増加により貨物船でも旅客を乗せる線として使い始めたことがきっかけでもあります。詳しくは山手線の歴史の記事で書いております。
山手線の歴史はこうして出来上がった!【最初は丸くなかった!?】
まとめ:電車と列車の違いを理解してしっかりと使い分けよう!
今回は電車と列車の違いについてお話ししましたが、いかがでしたでしょうか?
普段何気なく利用する電車においても法律によっていろいろな決まりがあり、呼び方や定義も定められています。すべてを知るのは難しいですが、少しでも理解できたうえで利用すると見え方が違って面白いですよ!
家族や友達に自慢できるかも!
今回は詳細は省きましたが、電車が動く仕組みについても知りたいかたはぜひそちらも合わせてご覧いただければと思います。
鉄道と電車の違い、電車と新幹線の違いについても記事にしておりますのでぜひ合わせてご覧いただければと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!